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「倉庫業者が出保管をする場合の注意点」

倉庫業

1 はじめに

 倉庫業者は、自社の倉庫で保管を行うことが一般的です。もっとも、倉庫業者に対して、荷主の側から、「荷主の所有する倉庫(以下「荷主倉庫」といいます。)を貸し出すので、保管物を、(倉庫業者自身が所有する倉庫ではなく)荷主倉庫で保管したままにして、倉荷証券や在庫証明書を発行して欲しい」といった依頼をされることがあると思います(これが「出保管(でほかん)」と呼ばれるものです)。
 そこで、以下では、このような出保管への対応について、解説していきます。

2 出保管の性質及び目的

 出保管は、荷主から倉庫業者に対して、①荷主倉庫を賃貸すること(賃貸借契約)、及び②荷主の保管物を寄託すること(寄託契約)の2つの要素から成り立っています。
 ①荷主倉庫が倉庫業者に賃貸されるため、保管物が荷主倉庫から倉庫業者の倉庫に移転されるわけではないこと、②倉庫業者に保管物を寄託する際に、倉庫業者の側から荷主の側に倉荷証券等を発行することが重要な点です。
 荷主としては、出保管を利用して、荷主の保管物を倉庫業者の倉庫に移転(引渡し)せずに荷主倉庫で保管することにより、保管物の運搬の手間等を省きつつ、倉荷証券等を担保にして金融機関から融資を受けたりすることができます。

3 倉庫業者が出保管をする注意点

(1)出保管のリスク

 上述のように、出保管の特徴として、あくまで保管物の管理は倉庫業者の側に貸し出されるなどした荷主倉庫で行わなければならないため、倉庫業者としては、荷主倉庫に赴いて保管物の管理等にあたる必要があります。
 保管物の実際の数量等が、荷主の申告した内容と異なるにもかかわらず、倉庫業者が荷主倉庫に赴いて確認していなかったなどのためにこれを看過し、実態と異なる在庫証明書等を発行してしまうと、倉庫業者法に基づく営業停止の行政処分等の制裁を受ける恐れもあります。
 また、荷主倉庫に倉庫業者側の管理者がいない間であれば、荷主の側が無断で倉庫内に立ち入って保管物を持ち出してしまう恐れもあります。
 このように、出保管は、荷主にとってメリットがある一方で、倉庫業者にとっては、最悪の場合には自社の営業の継続にも支障を来しかねないような重大なリスクを伴うものなのです。

(2)リスク軽減措置

 上記のような出保管のリスクを考えれば、自社との間に信頼関係のない荷主との間では、そもそも出保管を行うべきではありません。出保管をするかどうか決めるにあたっては、荷主の信用状況についてはもとより、荷主倉庫の所在場所や設備、施設環境、規模及び保管物の数量や性質等の客観的な条件に照らして、自社による適切な管理が可能かどうかといった点について、慎重に検討する必要があります。
 また、検討の結果、出保管をすることとした場合でも、荷主側と契約書を交わし、保管物についての荷主側の申告が正確であることの表明保証や、荷主側での保管物の無断出庫に対する違約金についての条項を定める等のリスク軽減措置をとっておくことが望ましいといえます。

4 最後に

 以上のように、出保管には、保管物の管理等に関して重大なリスクが伴いますので、出保管の依頼に応じるかどうか、出保管をするとして、荷主との間でどのようなリスク軽減措置を講ずべきか等について慎重な判断が求められます。これらの判断にあたっては、法律についての専門的な知見が必要になる場面も少なくありません。
 もし、「出保管と思われる依頼があったが、どのように対応すればよいのか分からない」といったことでお困りなら、倉庫業や出保管に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

Last Updated on 2024年2月21日 by segou-partners-logistic

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