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運送業で外国人ドライバーを雇う前に知っておくべき法律知識とリスク管理のポイント

労務問題

 少子高齢化と人手不足が深刻化する中、運送業界では外国人労働者の活用が急速に進んでいます。特に、ドライバーとして外国人を雇用するケースが増えていますが、そこには特有の法的リスクや対応すべき課題が存在します。この記事では、外国人ドライバー雇用の現状と、企業が知っておくべき法律知識、トラブル予防のポイントを弁護士の視点から解説します。

1 なぜ今、運送業で外国人雇用が進んでいるのか?

 日本の運送業は、慢性的な人材不足に直面しています。国土交通省の調査によれば、トラックドライバーの平均年齢は年々上昇しており、若手人材の確保が急務となっています。こうした背景から、特定技能制度を活用する等して、外国人をドライバーとして受け入れる企業が増加しているのです。特に地方では、日本人労働者の確保が困難なため、外国人材への依存度が高まっています。

2 外国人ドライバーの雇用実態と今後の見通し

 現行制度では、外国人は、定住者、永住者等の在留資格の他、「特定技能1号」の在留資格を取得することで、ドライバーとして働くことができます。現在、「技能実習」の在留資格で認められるのは、「荷積み・荷下ろし」や「整備」等の補助的作業までであり、運転そのものは対象外です。ただし、2025年現在、「特定技能2号」の拡大も議論されており、今後は制度の拡充や在留資格の緩和が進むことで、さらに多くの外国人ドライバーが日本で働くようになると予想されています。

3 外国人雇用で起きがちなトラブルと企業側の責任

(1)トラブルの類型

 外国人ドライバーとの間で生じる典型的なトラブルとしては、外国人ドライバーによって日本語能力に差があるため、日本語能力の不足に起因する指示の誤解や、それに伴う業務ミス、事故が発生すること等が挙げられます。また、外国人ドライバーが、日本の労働法に対する理解が不足していることにより、労働時間や休憩の取り方に関して誤った認識を持ったまま勤務するようなケースもあります。さらに、文化や価値観の違いから、職場内で無意識に差別的な言動が行われ、ハラスメントとして問題になることもあります。その他にも、在留資格で認められている業務と実際の職務内容が一致しない場合、企業が不法就労助長罪に問われるリスクも存在します。

(2)企業側の法的責任

 こうしたトラブルが発生した場合、企業は法的な責任を負う可能性があります。たとえば、ドライバーが業務中に起こした事故については、被害者から損害賠償を請求されることもあり得ますし、ハラスメント事案では企業自体の管理監督責任が問われることになります。また、労働基準法や入管法に違反した場合、行政指導や刑事責任が発生することもあります。これらの法的責任は、労働審判や損害賠償請求に発展する場合があり、企業の信用や経営にも大きな影響を与えるおそれがあります。

4 弁護士が支援できる領域

 弁護士は、他士業と異なり、このようなトラブルに関し、法的紛争の予防から解決までを一貫して担える点が強みです。

(1)採用前のリスクチェック

 弁護士は、採用を検討する段階で、外国人労働者が保有する在留資格が実際の業務内容に適合しているかどうかをチェックすることができます。これにより、不法就労や不適正雇用といった重大な法的リスクを未然に防ぐことが可能です。

(2)雇用契約書・就業規則の整備

 外国人ドライバーの雇用にあたっては、日本語だけでなく必要に応じて母国語での契約書の整備が求められることもあります。弁護士は、将来のトラブルを見越した雇用契約書や就業規則の整備をサポートし、法的な不備を回避する体制を構築します。

(3)ハラスメント・事故対応マニュアルの作成支援

 弁護士は、ハラスメントや業務中の事故に適切に対応するための社内マニュアルを作成し、社員教育の実施方法も含めて支援することが可能です。特に言語や文化の異なる外国人材が関わる場合には、この違いを踏まえ、誤解を招きにくい言葉遣い等に配慮する等した対応指針を作成することが職場の安全と安心を確保することが重要です。

(4)労務トラブル発生時の法的対応

 弁護士は、トラブルが実際に発生した場合には、交渉や労働審判、訴訟への対応を含め、企業の代理人として、紛争の早期解決に向けて活動します。弁護士は、最終的な紛争解決まで一貫して対応することができます。

(5)行政調査や指導への企業対応支援

 労働基準監督署や出入国在留管理庁などの行政機関から調査や指導を受けた場合にも、弁護士が代理人として対応し、企業の法的リスクを最小限にとどめるための助言と交渉を行います。

弁護士は“雇った後”の問題を防ぐ・対応できる存在

 外国人を雇用する際、「雇った後」の対応は特に重要です。採用段階の法的チェックももちろん重要ですが、実際に外国人の勤務が始まってからのトラブルが、企業にとって大きなリスクとなります。弁護士は、こうしたトラブルの発生を防ぎ、また起こってしまった場合にも迅速かつ的確に対応できる、企業にとって心強いパートナーです。外国人雇用を健全に進め、企業価値を守るためにも、法的な備えは不可欠です。ぜひ、早期の段階から弁護士の関与を検討されることをお勧めします。

Last Updated on 2025年6月20日 by segou-partners-logistic

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