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運送業界におけるカスタマーハラスメントにおいて弁護士が解説

1 はじめに

 近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)が運送業界でも問題になっています。
 全日本交通運輸産業労働組合協議会が令和3年に行った調査によれば、直近2年以内に利用者等から迷惑行為の被害にあったことがある事業者は、46.6%にも及びます。
 この記事では、カスハラの現状や対応方法について解説します。

2 運送業界におけるカスハラの現状

⑴ カスハラとは

 カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるものとされています。
 顧客等の要求の内容が著しく妥当性を欠く場合には、その実現のための手段・態様がどのようなものであっても、社会通念上不相当とされる可能性が高くなると考えられます。他方、顧客等の要求の内容に妥当性がある場合であっても、その実現のための手段・態様の悪質性が高い場合は、社会通念上不相当とされることがあると考えられます。

⑵ 運送業界におけるカスハラの具体例

 運送業では、暴力・暴言やSNS等での誹謗中傷や従業員の氏名公開、言いがかりによる金銭の要求などのカスハラが多いと言われています。

3 カスハラによって発生する運送業の損失

 カスハラが行われた場合、企業のブランドイメージ低下や業務上の支障の他、従業員への影響が非常に大きいです。カスハラによって従業員の精神的な負担が増え、業務のパフォーマンスが低下する他、健康不良や精神疾患を招き、休職や退職につながり、離職率が増加する恐れもあります。
 人手不足や高齢化が問題となっている運送業では、離職率の低下が大きな問題になります。

4 運送業でカスハラされた際の対応

 顧客からなにか要求あった場合には、それがカスハラにあたるかどうかを判断し、カスハラにあたる場合には毅然と対応する必要があります。
 カスハラにあたるかどうかの判断方法はいくつかありますが、そのうちの一つを紹介します。

⑴ 顧客の要求内容に妥当性があるか

 まずは、顧客からの要求が妥当なものであるかどうかを確認する必要があります。事実関係を確認し、顧客からの主張に根拠があるかを確認しましょう。
 こちら側にミスや問題がある場合には、一定の対応は行う必要があるでしょう。

⑵ 要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か

 顧客からの要求に根拠があるとしても、その手段や態様が相当な範囲でなければ、カスハラとして毅然とした対応を取る必要があります。
 顧客の言動が暴力的、威圧的、継続的、拘束的、差別的、性的である場合等には、手段や態様が社会通念上不相当とされることが多いでしょう。

5 運送業でのカスハラ対策

 カスハラを想定した事前の準備として以下のような取り組みを行っておきましょう。
 ⑴ 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
 ⑵ 従業員のための相談対応体制の整備
 ⑶ カスハラ行為への対応体制、手順の策定
 ⑷ カスハラについての教育・研修

6 弁護士の必要性

 カスハラにあたるかどうかの判断は難しいうえ、従業員が顧客と直接対応した場合、当該従業員が精神的に疲弊してしまう可能性があります。従業員を守るためにも、カスハラにあっているかもしれないと感じた場合には、早めに弁護士に相談して、相談窓口を弁護士に代わってもらうのがよいでしょう。
 また、社内でのカスハラ対策も、弁護士に相談することで効果的に行うことができます。
 カスハラにお悩みもしくはカスハラ対策を行いたい企業様は、運送業・企業法務に詳しい弁護士にご相談することをお勧めします。

Last Updated on 2025年1月15日 by segou-partners-logistic

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